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法人保険で節税は可能?税金対策の仕組みから税制改正の最新情報まで解説

法人保険で節税は可能?税金対策の仕組みから税制改正の最新情報まで解説

経営者の方の中には、法人保険で節税対策を行いたいとお考えの方もいるかと思います。

しかし、2019年に国税庁から税制改正の通達が出され、節税効果の高い法人保険について、損金に計上できる保険料の金額が引き下げられました。

そのため、今後法人保険で節税を行うためには、新たな損金計上のルールに基づいて適切な活用方法を知ることが重要です。

今回は、法人保険の損金計上に関する新ルールと、節税面での活用法について解説していきます。

法人保険で節税対策を行う仕組み

法人保険を利用して節税対策を行うには、まず「保険料の損金計上」と「解約返戻金」について知っておく必要があります。

保険料の損金計上

法人保険に加入していると、支払った保険料の一部を損金として計上することができます。会社の損金が増えると、その分法人税の課税対象になる所得(利益)が減るため、結果的に法人税も減るということに。

この「保険料の損金計上」によって、まず目先の節税対策が可能です。

法人保険の解約返戻金

次に、法人向けの生命保険では、途中で解約すると「解約返戻金」として支払い保険料の一部が手元に戻ってきます。

解約返戻率は保険商品によって異なりますが、80%~95%ほどの高い返戻率をもつものもあり、将来的に大きなお金が返ってくることが期待できます。

解約返戻金は受け取る際に益金として計上されますが、同じ年度に同等の金額分を役員の退職金や事業投資などに利用すれば、法人税を増やすことなく上手に資金を活用することが可能です。

このように、保険料の損金計上で利益を繰り延べて目先の法人税を抑え、解約返戻金で将来的に資金を手元に戻して活用するというのが、法人保険の節税対策の仕組みなのです。

2019年の税制改正によって節税保険が販売停止に

ここまで説明してきた手法を用いた法人保険の節税対策は、多くの経営者から人気を集めていました。

しかし、現在では法人保険による節税は難しくなっています。

というのも、かねてから節税保険を問題視していた国税庁が2019年に税制改正の通達をだし、法人保険の損金計上に関して新たなルールを設けたためです。

この新ルールによって、節税効果の高い法人保険は損金に計上できる保険料の割合が以前よりもずっと少なくなってしまいました。

通達が出されたあと節税効果の大きい法人保険は販売が停止となり、今後は「保険本来の保障を重視した法人保険選びをするべき」という考え方が主流になっていくと考えられています。

税制改正後の新たな損金計上ルール

では、2019年の税制改正によって法人保険の損金の取り扱いはどのように変わったのでしょうか。

ここでは、最新の法人向け生命保険の損金取り扱いルールについて解説します。

法人向けの定期生命保険の損金取り扱い

2019年の税制改正において変更されたのは、主に法人向けの定期生命保険に関してです。

具体的には、生命保険の最高解約返戻率に応じて、一定期間は保険料の一部を資産として計上しなければいけなくなりました。これにより、かつて節税保険として人気のあった一部の保険商品は販売停止となり、現在は新たなルールにのっとった保険商品が販売再開となっています。

細かな損金取り扱いのルールは、下記のとおりです。

最高解約返戻率 資産計上期間 資産計上額 取り崩し期間
50%以下 資産計上必要なし(全額損金)
50%超~70%以下 保険期間開始後、当初40% 支払保険料×40%
(支払保険料×60%が損金)
保険期間の75%が経過後、保険期間終了日まで
70%超~85%以下 保険期間開始後、当初40% 支払保険料×60%
(支払保険料×40%が損金)
保険期間の75%が経過後、保険期間終了日まで
85%超 保険期間の開始後、最高解約返戻率を迎える日まで ~10年:保険料×90%を資産計上
11年目~:支払保険料×最高解約返戻率×70%を資産計上
(残りの割合が損金)
最高解約返戻率の期間経過後、保険期間終了日まで

上記のように、最高解約返戻率が高いものほど、資産計上しなければいけない割合が大きくなっています。

しかし、保険料をまったく損金に計上できなくなったわけではなく、資産計上した残りの割合は損金として計上することが可能です。また、資産計上期間を過ぎれば保険料を全額損金に計上できるため、契約した保険商品の解約返戻率のピーク時期によっては以前とあまり変わらない節税効果を得ることもできます。

ただし、前述の通り新たな損金計上ルールは複雑なので、法人保険・経営者保険を活用して節税を行う場合には保険会社や税理士など、保険や税に詳しい専門家に決算前にしっかりと相談しながら検討することをおすすめします。

税金対策における法人保険の今後の活用法

2019年の税制改正によって、法人保険による節税効果は以前よりも小さくなったと言われています。

とはいえ、保険料を全く損金に計上できなくなってしまったわけではありません。前述の通り、資産計上期間をすぎれば保険料の全額を損金に計上することができるので、長期的な目線で考えれば法人保険を用いた節税はまだまだ可能です。

また、節税面を除いても、法人保険は会社のお金のリスクに備えるものとして非常に役立ちます。

そういったことを踏まえ、自分の会社にとって本当に必要な保障を得ながら、その上で節税効果を期待するという視点で法人保険を検討していくことがおすすめです。

法人保険の本来の役割

法人保険は、そもそもは会社経営にまつわるお金のリスクや資金需要に備える目的で加入するものです。

  • 経営者に万が一のことがあった際の事業保障
  • 事業承継資金・退職金や、緊急時の資金需要などに備えた貯蓄

節税ありきで法人保険に加入するのではなく、いま会社に必要な保障はなにかをまず考えてみましょう。

法人保険は、それぞれの目的にそった保険商品が販売されています。事業保障が目的なら高額な保険金がかけられるもの、資金貯蓄をしたいのであれば解約返戻率の高いものなど、様々です。

あなたの会社の目的にあった最適な法人保険を選ぶことで、将来的お金のリスクに十分に備える。

そして、ルールに則って保険料を適切に損金計上し、税金を抑えられる部分はしっかりと抑える。

この2つが、2020年以降の法人保険の賢い活用法と言えるでしょう。

まとめ:税金対策をしながら必要な補償を得るべし

今回は、法人保険による節税対策と、2019年の税制改正の情報について解説してきました。

法人保険による節税は、以前よりもルールが複雑となり、長期的な目線で考える必要があります。そのため、まず自社に必要な保障はなにかをしっかり考えて法人保険を検討すること、その上で税と保険の専門家に相談しながら適切に保険料を損金計上して可能な限り法人税を抑えること、この2つがこれからの法人保険の選び方と言えるでしょう。

法人保険における節税と今後の法人保険の活用法についてより詳しくし知りたい方は、こちらの「法人保険比較.net」というサイトがおすすめです。

法人保険の新たな損金計上ルールや、現在販売中の法人保険の活用法について、詳しく解説されています。

ぜひチェックしてみてください。

法人保険での節税方法

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