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節税目的で法人保険に加入していた経営者の方も多いと思いますが、2019年に国税庁が出した税制改正によって、法人保険の節税効果は小さくなってしまいました。

具体的には、法人保険の最高解約返戻率に応じて支払い保険料のうち何割かを資産として計上しなければいけなくなったのです。

今回は、2019年の国税庁による税制改正の内容を解説します。法人保険による節税効果の面だけでなく、毎年行う経理処理にも関わる内容なので、経営者の方はぜひチェックして下さい。

2019年の国税庁による税制改正の通達内容

以前から節税目的の法人保険商品を問題視していた国税庁は、パブリックコメント(意見募集)を経て2019年7月に税制改正の通達を発表し、法人保険の損金取扱いについて新たなルールを設けました。

税制改正の対象となったのは、法人保険のうち定期生命保険と医療保険・がん保険などの第三分野の保険です。この税制改正をきっかけに、今まで「半損」「全損」と呼ばれていた節税効果の高い定期生命保険(逓増定期保険や長期平準定期保険など)は一部の商品が販売停止となりました。

2020年現在では法人向けの定期生命保険は販売再開となっていますが、新規契約する法人保険はすべて税制改正後の損金取り扱いルールのもと経理処理をしなければいけません。

最高解約返戻率に応じて損金取り扱いの区分が設定される

税制改正による法人保険の損金取り扱いルールでは、最高解約返戻率に応じて損金取り扱いの区分が設定されました。

税制改正の内容を簡単に説明すると、解約返戻率の高い定期生命保険ほど、契約してから一定期間に資産計上しなければいけない割合が多い(損金計上できる割合が少ない)という内容になっています。

また、医療保険・がん保険などの第三分野の保険では、全額を損金として計上できる金額は一人あたり年間30万円までというボーダーラインが設定されました。30万円を超える場合には、ルールに基づき保険料の一部を資産計上、残りを損金計上する必要があります。

では、次にこれらの税制改正後の新ルールをより詳しく見ていきましょう。

法人保険の定期生命保険の新ルール

まず法人保険の定期生命保険ですが、最高解約返戻率の高さに応じて4つの区分に分けられ、それぞれ保険料を資産計上する期間と割合が決められています。

区分 資産計上期間 資産計上割合 取り崩し期間
50%以下 なし なし なし
50%超70%以下 保険期間の当初4割 支払保険料の4割 保険機関の7割5分の経過後から保険期間終了まで
70%超85%以下 保険期間の当初4割 支払保険料の6割 保険機関の7割5分の経過後から保険期間終了まで
85%超 保険期間の開始~最高解約返戻率を迎えるまで 保険期間当初~10年目まで:最高解約返戻率×9割 11年目以降:最高解約返戻率×7割 最高解約返戻率を迎えてから保険期間終了まで

最高解約返戻率が50%以下であれば資産に計上する必要はなく、保険料の全額を損金として算入することができます。

50%を超えた場合には、最高解約返戻率の大きさに応じて保険期間開始から一定期間の間は決められた割合を資産に計上し、残りを損金に算入します。

なお、資産計上期間を過ぎれば保険料は全額を損金に計上可能です。

資産に計上した保険料分は、取り崩し期間を迎えたら保険期間終了まで均等に取り崩して損金に算入して下さい。

このように、法人向けの定期生命保険は税制改正の前と比べて複雑な経理処理が必要です。

第三分野の保険(医療保険・がん保険など)の新ルール

次に、第三分野の保険(医療保険やがん保険)の損金取り扱いについて見ていきましょう。

税制改正以前は、法人が加入する第三分野の保険では保険料の支払いを短期で終える「短期払い」という方法をとる経営者の方が多くいました。

短期払いにすることで、損金に算入できる金額が大きくなり節税効果を期待できるためです。

しかし、2019年の税制改正によって、第三分野の保険の短期払いにも新たなルールが設けられました。

定期タイプ、または終身タイプの全期払いの場合

法人保険の定期生命保険と同様の損金取り扱いになります。

終身タイプの短期払いの場合

こちらは、一人あたりの年間支払保険料の金額が30万円を超えるかどうかで経理処理の方法が異なります。

なお、一人あたりの年間支払保険料は、一人で複数の医療保険・がん保険に加入していた場合にはすべての保険を合計した金額で計算します。

一人あたりの年間支払保険料が30万円以下の場合

保険料の全額を損金として算入します。資産に計上する必要はありません。

一人あたりの年間支払保険料が30万円を超える場合

保険料の払込期間中は、「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間」で算出される金額を、支払い保険料として損金に算入します。残りは資産計上です。

なお、このときの保険期間は「116歳-被保険者の保険契約時の年齢」で算出される期間です。

保険料の払込期間の終了後は、被保険者が116歳になるまで資産計上した保険料を取り崩します。また、先程求めた支払い保険料については、そのまま損金に算入し続けます。

このように、法人保険のなかでも第三分野の保険の短期払いに関しては、年間保険料30万円をボーダーラインとして複雑な損金取り扱いルールが設けられました。

税制改正以前のように、短期払いで大きな節税効果を狙うことはできなくなっているので、注意が必要です。

税制改正のポイントは「最高解約返戻率」に応じた資産計上

ここまで、2019年の税制改正による法人保険の損金取り扱いルールの変更点を解説してきました。

税制改正の重要なポイントは、最高解約返戻率に応じて資産計上をする期間も割合も異なる点です。以前と比較すると、経理処理の方法が非常に複雑になっているため、経理を担当される方は注意が必要です。

法人保険税制改正後の経理処理方法は、契約した保険会社や保険代理店のスタッフ、または会社の税理士などから詳しく聞くことができるため、不明点がある場合には早めに確認することをおすすめします。

税制改正によって法人保険の節税効果はなくなった?

2019年の税制改正によって、法人保険の節税効果は小さくなり、「法人保険は本来の保障を重視する流れに立ち戻った」と言われています。

しかし、法人保険を活用した節税は全くできなくなったというわけではありません。確かに、保険契約当初のうちは、損金として計上できる保険料が税制改正前と比べて小さくなりました。しかし、資産計上期間をすぎれば保険料は全額を損金として計上することができるため、長期的に考えれば法人保険を活用した節税はまだ可能といえます。

ただし、法人保険の定期生命保険は、解約返戻率が高くなる時期を見極めて解約しなければかえって損をしてしまい、意味がありません。

こういった損金計上できる金額や法人保険を解約すべきタイミングなどは、保険会社や保険代理店のスタッフなどが最適なプランを提案してくれます。

税制改正によって損金取り扱いの仕組みが複雑化した現在、法人保険で節税を行うには専門家のアドバイスを求めることが重要です。

まとめ:法人保険による節税はリサーチがより重要に

今回は、2019年の法人保険に関する税制改正について解説してきました。

税制改正により、法人保険の定期生命保険は最高解約返戻率に基づいて損金取り扱いのルールが定められました。また、以前は節税効果が高く人気のあった第三分野の保険の短期払いについても変更点が生じました。

税制改正後の現在、法人保険による節税効果は小さくなったと言われていますが、それでも長期的な目線で見れば法人保険を活用した節税は可能です。

仕組みが複雑になっているため、自分で法人保険や経理処理についての情報を探すだけでなく、保険会社や保険代理店のスタッフに相談してプロの目からアドバイスをもらうことがおすすめです。

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